しかし、ニューヨーク市周辺の池や湖では渡り鳥のガンやガチョウが鳥インフルエンザで死んでいるのが見つかっている。1度の消毒で感染を完全に止めることは難しいとみられており、今後も取引停止が断続的に続く恐れがある。
ニューヨークでの食肉価格の相場観は、最も高いのが牛肉、次いで豚肉、最も安いのが鶏肉だ。鶏肉はモモやムネなど正肉も手ごろな価格だが、レバーや砂肝、ハツなど内臓系の肉は大きめのパックで3ドル(約462円)台で購入することができ、節約生活を余儀なくされている庶民には強い味方だ。
米国では宗教によって食べ物が制限されている市民は多い。ニューヨークにも多いユダヤ教徒は、豚肉は一切口にしない。鶏肉が高騰を始めたとしたら、食生活は一気に苦しくなりかねない。
苦悩の外食産業は「卵サーチャージ」を導入 値上げできないサンドイッチも
卵価格の高騰で、外食産業は行き詰まっている。卵は安価なメニューの中心食材となっており、安易に値上げができないからだ。
ニューヨークに店舗はないがジョージア州に本社がある南部料理のレストランチェーン「ワッフルハウス」は、卵の価格高騰でメニュー価格の見直しを検討した。店名の通り、ワッフルが売り物のこのチェーンは、朝食メニューの人気が高く、価格を抑えないと客足は遠のく。そこで導入したのが航空会社の「燃油サーチャージ」ならぬ「卵サーチャージ」だ。卵1個あたり50セント(約77円)の「サーチャージ」をメニューに上乗せする。卵を2つ使うメニューなら通常価格より1ドル高くなる。
「ワッフルハウス」は全米で2000店以上を展開し、年間で約2億7000万個の卵を客に提供している。顧客にはあくまで一時的な措置であることをアピールしなければならず、メニューの価格を書き直すことはせず、メニューのページに「サーチャージ」のお知らせを記したシールをはっている。
「卵サーチャージ」は「ダイナー」と呼ばれる個人経営の大衆食堂にも広がり、1月中旬以降、卵1個あたり30セント(約46円)を上乗せするケースがみられるようになった。レストランの場合、この程度の価格上乗せなら、ぎりぎりの線で消費者の理解を得られているようだが、ニューヨーク市内にある「ボデガ」と呼ばれる持ち帰り専門の小規模店ではそうはいかない。