「マスコミをマスゴミと蔑むのは建設的ではないからやめようぜ」といった上品ぶった主張をしたいわけではありません。もったいない、と思うのです。
マスゴミ非難をするならば、何度も繰り返されてきた言葉を用いても「効き目」は薄いのだから、より斬新で、マスコミ関係者が震え上がるような鋭い批評ができた方がよいはずです。マスコミ批判をするならば、いくら苦言を呈されても変化に乏しいマスコミの構造を把握し、議論が及んでいない問題を明らかにしたり、具体的な改善策を提案できたりした方が有益であるはずです。
本連載の目的は、まさにそこにあります。その時々に注目を集める時事問題やネット炎上の事例を取り上げながら、メディア研究・ジャーナリズム研究や社会学の知見を援用して、もう一歩踏み込んだマスコミ批判/マスゴミ非難をするためのヒントを探る。それを通じて、人々とマスコミのより良い関係性の構築に寄与することを目指していきます。
(文=小神野真弘)