千葉県鴨川市にある亀田総合病院というのは、アメリカのニューズウイーク誌が、患者の満足度などをもとにして、世界のベストホスピタル2023年でも、東京大学医学部付属病院や聖路加国際病院に次ぐ第3位という有名病院である。
その病院の眼科部長に2000年に就任したのが片岡健だった。片岡は自身の人脈でスタッフを招へいするなど努力して、日本眼科学会による「眼科専門研修基幹施設」の認定を受けたという。そのためには、統括責任者1名、専門医6名、他の診療科との連携委員1名以上が勤務していることが必須になっているそうだ。だが、3名の専門医が退職することになり、それを知った片岡は、基幹施設の継続は困難だと判断したという。
片岡は、亀田俊明院長に事情を伝えたが、亀田からは「プログラムを継続してほしい」といわれた。基幹施設でなくなると、研修医が所属できずに医師の数が減り、収益が下がりかねない。経営陣にとっては一大事なのだ。さらに片岡を追い詰めたのは、認定を更新した際の資料に、勤務実態のない他の病院の医師たち21人を「亀田の医師」として申請していたことを知ったことだった。
片岡は、「途中で明るみに出た場合、研修医が専門医試験を受けられないかもしれない。新しく入る予定の研修医には私が謝るので、取り下げましょう」と亀田院長にいったが聞き入れられなかった。片岡は、「僕の意見が通らない体制になっている」と研修医に頭を下げていたという。
そして片岡は、3月8日、自ら命を絶った。享年60。亀田は他の大学の了解は得ていると答えているが、文春が聞いてみると、そのような事実は把握しておりませんと答えている。無断で掲載したことは間違いないようだ。
こんな病院が、患者満足度日本3位だとは、笑わせる。病院側は事実関係をすべて明らかにする必要がある。