さて、犯罪者というのは時代に敏感なものだ。だから、マイナカードが出たときは小躍りしたのではないか。これで騙せる、これで稼げると。新潮によると、2020年の夏というから、かなり早い段階だが、森進一という男が、同姓同名の人間が住む自治体を調べ、地元在住だと偽って、コロナ対策特別定額給付金を申請したというのだ。

 その時、その男が身分証明として提出したのがマイナカードだった。カードを調べればすぐにこいつはこの町の人間ではないと気付くはずだが、石川県能登市だけはまんまと騙されて50万円を振り込んでしまったというのだ。

 今年の4月には、「マイナカードを申請すると5万円がもらえます」と、88歳の独居男性に市の職員を名乗る人物から電話がかかり、信用した件の男性が市役所に出向いたすきを狙って空き巣に入られたという。やはり市役所の人間だと偽って、「マイナカードにはお金がかかる」といわれ、登録手数料を取られた。マイナカード申請には時間がかるといわれ、代行してあげると手数料を取られたなどなど。

 それ以上に危ないのは、マイナカードを盗まれると、私のような年寄りは暗証番号をめんどくさいのと忘れないようにするため、生年月日にしておくことが多いため、簡単に情報を盗まれてしまうことだ。早くこれを止めないと、被害はさらに甚大になるはずだ。