第3位は、北の町札幌で起きた奇怪な事件。ラブホテルで、首を切られて殺されたAという男性は、見た目は若々しかったというが、62歳だった。このAには「女装」する趣味があったそうだ。その日7月1日は、ススキノで4年ぶりに開催されたディスコイベントがあった。Aは「上下セパレートで光沢のある銀色の衣装。ライトが光る小さなリュックを背負っていました。ピンク・レディの『UFO』のコスプレみたいな感じ。お立ち台で踊ったり、他のお客さんたちと会話や記念撮影をしたりして、とても楽しそうでした」(参加客)

 Aは、夜のススキノでは「女装家のトモちゃん」として知られていたという。週末の夜にススキノに繰り出すのがAの日常だったというから、彼の妻も、夫の女装癖は知っていたのではないか。化粧も女性が感心するほど洗練されており、遠目には少し大柄な女性そのものだったそうである。

 そのトモちゃんが当夜、イベント会場から徒歩5分ほどにあるラブホテルに誰かと入り、2日の午後3時ごろ、不審に思った従業員が部屋を訪ねた。

「洗い場で浴槽に体を向け、うずくまるように倒れていた。血は洗い流されていたが、死因は出血性ショック。体に致命傷となった刺し傷があり、頭部が切断されたのは殺害後。室内には争った形跡や血痕はなかった。そもそもベッドは使われた痕跡はなく、被害者の体に防護創もなかったことから、入室直後に入浴中、無防備なところを襲われたとみられる」(捜査関係者)

 Aと入室したのは、「上下白っぽい女性の恰好で、金髪のウィッグをつけているようにも見える。(中略)GPSの追跡を逃れるためか、持ち去った被害者の携帯電話は、退出した時間帯に電源が落とされていた」(同)

 性別は未特定だが、身長は推定160センチ前後で、男性だとしたら小柄な部類に入るそうだ。抜け出す午前2時前、ホテルのフロントに「一人で先に出ます」と内線でかけてきた声は「女性の声色」に聞こえたという。

 被害者の携帯を持ち去ったのは、犯人とのやり取りが残されているからであろう。通りがかりの犯行ではなく、十分に練られたものである可能性が高い。だがなぜ、首を切り落して持ち去ったのだろう。ここに事件を解くカギがある。不可思議なというか、今風というか、なかなか奥が深そうな事件ではある。