◆家族が嫌いではないし、心から感謝もしているけれど

 とにかく親戚の集まりに良い思い出はない。「お小遣いもらえるから」と言って親に手を引かれた時も、大泣きして駄々をこねるほど嫌だった。だからこそ、当時の自分と姪っ子を重ね、「大人の割合が多い親戚の集まりに子供を参加させるなんて可愛そう」と考えてしまうことも帰省したくない理由である。

 決して家族が嫌いというわけではない。好きな部分も多く、虐待されることなく育ててくれたことには心から感謝している。また、両親ともに高齢であり、いつ会えなくなるかわからないため、会える時には無理をしてでも会ったほうが良いと思う。しかし、「帰省したくない」という気持ちは確実に存在する。どのように自分の心に折り合いをつけていけば良いのか、その正解は見つからないまま両親と別れることになるかもしれない。

<文/望月悠木 イラスト/ズズズ@zzz_illust>

【望月悠木】

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki