◆“『サザエさん』の波平ごっこ”をしたいだけ

 父親のことは嫌いではない。虐待されたこともなく、大学進学などでお金を渋られたこともなく、いわゆる“親ガチャ成功勢”である。しかし、共通の趣味はあるにはあるが、友達ほど一緒に話して楽しいと思うことはない。そのため、会うことを期待・強要されると、どうしても面倒くさくなってしまう。ただ「年末年始は家族で集まるもの」という価値観を押し付けられなければ、帰省することには前向きになれたように思う。

帰省したくない
 また、その理由だけではない。筆者の父親はドラマなどで見かけるような、“男らしさ”を押し付けたり人格否定したりなどは一切なく、虐待とは最も縁遠い。とはいえ、しっかり“家父長制”を疑わない昭和的な父親である。

 自身を“家族の長”と認識しており、母親や筆者に対する言動はどこか高圧的。つまりは、父親にとって帰省は自分が優越感に浸れる最高の瞬間である。言い換えると“『サザエさん』の波平ごっこ”をしたいだけ。父親を気持ち良くするための構成員として参加していることに、嫌悪感を覚えてしまったことも、帰省にネガティブなイメージを持たせた。