さらには『告白』制作中の2009年に、22歳の制作進行スタッフが撮影現場からスタジオまで制作トラックを運転して帰る途中での事故で亡くなり、その原因は過労によるものであろうという内容が、亡くなったスタッフの映画専門学校時代の友人を名乗る映画関係者のブログにつづられている(2015年に投稿され現在も公開されている)。
◆事実上「無視を決め込む」姿勢に
これらの疑惑についてまったく説明がなされていないようでは、『時には懺悔を』でも中島監督やプロデューサーによる、同じような望まない撮影の強要、厳しい演技指導という枠に収まらないパワハラが、俳優やスタッフに対して続けられているのではないか、という疑念を晴らすことはできない。
さらに、週刊文春の公式Xでは、「中島監督に質問状を送付すると、事務所が『中島監督の指示通り、御社からのメールは未読のまま破棄いたしました』とした」という投稿もあった。事実上、「無視を決め込む」という対応が監督側からなされてしまったのだ。
憶測でしかないが、『時には懺悔を』発表の「元旦」というタイミングも、「鎮火」を狙ったもののように思えてしまう。ニュースメディアの多くが休みであり、「発表時にSNSで炎上しても、時間が経てば騒ぎは収まのだから何も言わないのがいちばん良い」と送り手側が判断しているようにさえ見える。事実、現時点でこの問題を取り上げていているニュースメディアは、片手で数えるほどしかいない。
◆過去事例では
「何も言わない」ことが(送り手側の立場からすれば)うまくいってしまった例もある。中島監督作以外では、2022年の映画『さかなのこ』で共同脚本を手がけた前田司郎は、セクハラと性加害の告発をされていたが、その問題は解決することなく、公式からの声明は何もなされていないままであり、ニュースメディアが取り上げることもほとんどなかった。