2025年1月1日、映画『時には懺悔を』の公開が発表されたが、そこには中島哲也監督の「過去の問題」についての記述はなかった。多くの疑問と批判の声がSNSで寄せられたが、それから10日以上が経過してもなお、公式からのアナウンスはない。
この問題は1人の監督および、作品に限った話ではない。送り手側が「向き合わない」どころか「無視」を絶対にしてはならない理由を、問題の概要をまとめた上で記していく。
◆過去の「ヌード強要」問題への回答はいまだになし
中島監督の問題の中でも特に強く追求しなければならないのは、2014年の監督作『渇き。』に出演した元女優への「ヌード強要」問題に対して、制作側および監督の回答が今もなされていないことだ。
告発者である元女優・A子さんの「週刊文春掲載の記事について」と題したnoteによると、事務所との間に「バストトップが露出されるヌード」のある作品には出演しないという契約を交わしていたはずだったが、プロデューサーからは「1日撮影を止めるのは300万円の損失」という言葉もあり、性暴力シーンの撮影に応じるしかなかったとのこと。現場で怯えて泣きながら過呼吸を起こしたA子さんを助けてくれる人はおらず、その時の恐怖と絶望感は言葉では言い尽くせないほどだったという。
オーディションから撮影の瞬間まで、一度も監督からもプロデューサーからもヌードに関する明確な説明はなく、話し合いの末に中島監督からは「編集時に、事務所と本人にも参加してもらい、不都合なシーンは申し出てくれればカットするので、明日は絵コンテ通りに撮影させてほしい」との発言もあったのだが、その約束は反故にされたという。編集に関しての連絡がないまま試写会当日を迎え、劇場公開もされ、元女優は自殺未遂にまで追い込まれた。
◆パワハラの事実、過重労働での死亡事故の疑惑も
さらに、2006年公開の『嫌われ松子の一生』では、主演の中谷美紀へのパワハラが問題視されている。中谷はゲスト出演した2015年放送の『A-Studio』(TBSテレビ)で、睡眠時間が1日1時間の日が続いていたこと、中島監督から怒鳴られ続け、「辞めろ」「殺してやる」などと毎日言われていたため涙が止まらなくなり、撮影を放棄したこともあったと明かしている。