それでも翔也は、そういうテンプレがあっただけマシなんです。
試食会を終えた翌日、規格外の野菜を仕入れて日替わりメニューを作った結に、イケメンコックの原口(萩原利久)が「みんなのために、おいしくて栄養のことを考えた料理を作る喜びを知ることができた。ありがとう」などと唐突に口走る場面があります。
ここで描かれた社食の成功、社食の変化というのは、輸入野菜から新鮮な地元の規格外野菜に切り替え、おいしい野菜料理が提供できるようになった、というものです。
そのプロセスにおいて、結はほとんど何もしていません。地元野菜のサンプルをかき集めてきたのは原口自身だし、規格外の野菜をどう仕入れたのか、地元の生産者と誰がどんな交渉を行ったのかは、描かれることすらありません。結は与えられた食材で献立を考えるという、栄養士としての通常業務を行ったにすぎない。にもかかわらず、まるで結こそが社食におけるジャンヌ・ダルクであるかのように持ち上げられる。アップで抜かれる。うるさい劇伴が鳴る。
ここでも明らかに過剰な評価が与えられている。
昨日今日、商品開発を巡る「お仕事ドラマ」としての解像度の低さに目をつぶったとしても、これだけの手落ちや矛盾が浮かび上がってしまう。なかなかの末期状態となっております。
あと原口さ、上司が裏でシンク磨いてんだから、女とくっちゃべってないで手伝いなよ。仕事中だぞ。
その他いろいろ
あんな調子で、半年でそんなに貯金たまるかよ。
初の両家顔合わせなんだから、せめて木曽路とか行け。
なんだその席の並びは。米田家と四ツ木家で向かい合え。
などなどありますが、今日の最大の「『おむすび』やなぁ~」ポイントは、神戸から梅田まで走り出した翔也のリュックのフタが閉まっておらず、パタパタしてたところです。今から20キロ以上走る人のリュックがパタパタしている。これを撮り直さない怠慢と不注意こそが、『おむすび』に巣食う腐敗の正体だと感じる次第です。