そしてもっと意味がわからないのが、ホームページ公開を頑なに拒否するパパです。「地道にコツコツやってればいい」と、昨日はその理由を述べていましたが、「地道にコツコツ」と「ホームページ」はまったく矛盾していません。なぜここまで頑ななのかを説明する必要があるのに、ゴリ押ししてくる。加えて、「夫婦円満の秘訣は我慢と即時謝罪」と言っていたその口で、ママを口汚く罵っている。人物の性格がブレブレなんです。
さらに意味がわからないのが、頑なに医者に行かない翔也(佐野勇斗)です。肩の痛みを、書物の1ページだけを見て「肩関節唇損傷」だと決めつけ、「野球ができなくなるのが怖い」と言って医者に行こうとしません。もう肩より上に右腕が上がらないといって、サイドスローに挑戦しようとしたりしています。
頑なに医者に行くことを拒否させたいなら、やっぱり理由が必要なんです。これだって、1エピソードあればいい。例えば祖父なり祖母なりが腰が悪くて、医者に連れて行ったら悪化して二度と歩けなくなった、それ以来、医者が信用できないし怖くなってしまった。そういう具体的な理由があれば、まあ理解できなくもないんです。パパがホームページを頑なに拒否する理由もそう、知り合いの店がネットで情報を公開したら泥棒に入られてしまったとか、その「頑な」ぶりに理由付けがないと、人物が「変なバカ」にしか見えなくなっちゃう。
そういうところ、根本ノンジさんくらいのベテラン脚本家だったら肌感覚でわかってる部分だと思うんですよね。このドラマの脚本に強烈な「負のディレクション」が入っていると感じる部分です。
生活感と社会常識の欠如
このドラマには日常がありません。事件しかないんです。人物に生活感がないから、すべての事件が唐突に感じられます。
結さんがコック長のレシピを盗み始めてから、パートさんの存在や厨房における皿洗いや仕込みといった作業そのものが完全に画面からスポイルされています。