ここだって、陽太に仕事の電話を1本させれば、会っていなかった2年間を想像できるんです。陽太が仕事先の相手にも横文字の羅列を使っていれば「理解の及ばない業界にいる陽太、遠くへ行っちゃったんだね」と思えるし、そんな陽太が米田家に対しては変わらず気さくに接していることに意味が出るし、横文字を一切使わなければ「なんや陽太、私たちの前でカッコつけてただけか」と、陽太という人物の愛嬌を表現できる。
陽太という人を2年ぶりに登場させておいて、視聴者がその2年間を想像することをあえて拒絶しているような演出なんですよね。作り手が、陽太という人物にも興味がないんです。
そう思わせておいて、パパ(北村有起哉)が「ビジホに泊まるのはもったいないから家に泊まれ」と言う。このドラマ、大人も見ていいんだよね? 大人だったら、絶対に「あれ出張宿泊費の扱いは?」という疑問が浮かぶんですが、そういう社会常識にもとことん無頓着です。
そんな陽太に、ママはホームページの作り方を教えてくれと頼みます。店の集客が思うようにいかず、ネットでアピールしたいという。パパは頑なにホームページの公開を拒否しますが「簡単でしょ」「いいじゃないお金もかからないし、私がやるんだから」と聞く耳を持ちません。
勝手に作ればいいのに、と思っちゃうわけです。パソコンもネットもちんぷんかんぷんで、「ほぉむぺぇじ?」みたいな状態の人だったら陽太に教えを乞うのもわかるけど、この人はもう長年にわたってブログを運営しているし、手描きのイラストをスキャニングしてデータ化し、リサイズしてブログにアップロードするくらいのスキルはある。
普通に考えて、それくらいのスキルと情熱のある人だったら陽太の登場を待たずとも「ホームページ 作り方」で検索するはずなんですよ。ほら、「Yahoo!ジオシティーズ」というのが出てきたでしょう。ケータイ向けにギャルさんたちにアピールしたいなら「魔法のiらんど」もあるぞ。ブログだって結に黙って始めてたんだし、そういうバイタリティのある人として描かれてきたのに、ここにきて「ホームページ作る作らない」でパパとモメる意味がわからない。勝手に作って公開しちゃいなよ。