笑ったことないんだよ。『おむすび』がコメディをやろうとしたシーンで、一度も笑ったことがないの。「なんで今それ?」って、いつも思うんです。『おむすび』制作陣において「コメディ脳」というものがあるとするなら、それには「無能な働き者」という言葉がよく似合います。すっこんでろ。

 取り乱しました。

 あとは100人のアンケートが必要で、10人欠員が出て、それを補充するために翔也くんが社内を走り回ったりしているわけですが、100人のアンケートが90人になって何が問題なのよ。それより食味についてのアンケートなんだから年齢層や性差のバランスのほうが重要でしょう。開発部のバカは、この10人が欠けたら「新商品の方向性が大きく変わってくるんですよ」とか言ってブチ切れてる。ナレーションは「星河電器のビッグプロジェクト」だと言ってる。たった10人、無作為の調査対象の頭数で左右されるようなビッグプロジェクトがどこにあるんだよ。

 今回の「ビッグプロジェクト」問題は、ここまで小出しにされてきた星河電器という企業を描写するうえでの問題点や疑問点が一気に噴出したと思いました。人事もバカだと思ったけど、本社開発も、いくらなんでもバカすぎるだろ、これ。お仕事ナメすぎだろ。

 でもなんか、感触として「視聴者をバカにしている」という感じはしないんですよね。前半にはそう思ってた時期もあったけど、ここまでひどいと、もう意図的にやってるとも思えない。何か、交通事故現場に遭遇してしまったような、今日はそんな気分なんです。

 ドラマを動かす全部のエンジン、全部の構造体がひどく壊れている。グシャグシャに潰れて互いにボディを食い込ませた何台ものクルマが一塊になって、何か大きな力に強引に引きずられていく。乗っていたはずの人間はもう、人間の形をしていない。そういう風景。こわーい。

(文=どらまっ子AKIちゃん)