そして4月になって、「社長から(下半身が)もうダメだから、覚醒剤でも買ってきてくれませんか」といわれたと彼女は証言していた。

 野崎の命を奪った覚醒剤を野崎が自ら彼女に依頼したと証言したというのだ。

 須藤は、捜査段階の取り調べで覚醒剤を買ってもいないし、買おうともしてないと供述をしていた。その理由を裁判で須藤は、「頼まれたといっても、信じてもらえないと思った」と釈明している。

 野崎は入手してくれと20万円を彼女に手渡したそうだ。彼女はそのカネを自分の口座に入れたという。

 しかし、須藤は野崎の依頼を放置したままにしていた。だが7日になって野崎から、「あれどうなった?」と催促されたため、同日夜、須藤はネットで検索し、掲示板「裏2ちゃんねる」に載っていた密売人の連絡先に電話したそうだ。日付が変わった8日の午前0時過ぎ、覚醒剤とされる結晶を入手した。

 しかし、それを渡した翌日の夕食の時、野崎から、「あれ使いもんにならん。ニセモンや。もうお前には頼まん」といわれたという。

 そして野崎が急性覚醒剤中毒で死亡するのはその45日後であった。

 須藤という女性は、若くして人生の裏表を知りつくしたようなところがある。

 彼女には4本のアダルトビデオに出演した“過去”がある。それが野崎にバレそうになったことがあり、それも殺人の動機につながるのではないかといわれた時期があった。

 それに対して須藤は法廷でこう反論している。

「社長からAV出演を確認されたことはありませんでした。もし知られたとしても、社長自身が交際クラブなどに登録して、お金で女性を買っているんです。そういうところから紹介される女性って、私も含めて、みんな売春婦じゃないですか。だから、そんなの気にするかって話です」

 野崎が亡くなってから約6年半が経つが、法廷で、元夫にいいたいことはあるかと聞かれて、こう吐き捨てたという。

「もうちょっと死に方を考えてほしかったです。社長があのタイミングで死んだせいで、私は何年も人殺し扱いなので。クソッ」