性的暴行事件の捜査の中で、検察は件の副検事にも聴取を行っていた。調書の開示を受けたという女性検事は、その内容について以下のように説明している。

「副検事は、私が被告のことをとても好きで、以前から“被告人と飲み会をしたい”と、ずっとしつこく言っていたので飲み会をセッティングしてあげた、私は飲み会の最中も被告人に対して“ずっと前から被告人のことが好きだ”“チューして”“ハグして”と手を広げるなど、好意を示していたと供述していました」

 さらに副検事は、懇親会終了後、女性検事が率先して北川被告を官舎へタクシーで送り届けたと供述。北川被告や女性検事を含めて懇親会の参加者6名中、副検事だけが酒を飲まないので、“自分の記憶が最も正確だ”とアピールしていたという。

「単にうわさ好きの人が“(行為に)同意していた”とか言っているのではなく、副検事はまさに自分が事件関係者であり、事件の真相を知っているという前提で『被害者は酔っておらず、同意していたんだと思う。賠償金も受け取っているのに被害申告している』、あるいは『PTSDは詐病である』などと吹聴していた。それを聞いた人から確認が取れたので、名誉毀損として告訴しています」〉

 たしかに女性検事は慰謝料として北川被告から1000万円を受け取っていたが、“汚い金”を使うことはためらわれると突き返し、被害を訴え出たという。

 この裁判、注目して見ていきたい。

 今週の最後は紀州のドン・ファンといわれ、コンドームの販売から始め、貸金業で儲けたカネで女遊びを繰り返していた野崎幸助が「怪死」した事件で、犯人ではないかと当初から疑われ、逮捕された須藤早貴が、和歌山地裁で「無罪」の判決を受けるまでの経緯を丹念に追った文春の記事。

 野崎が自宅で命を落としたのは、2018年5月24日夜だった。享年77。死因は急性覚醒剤中毒。

 須藤は野崎の3番目の妻で、入籍からわずか105日後の死別だったが、第一発見者でもあった。その日は、家に野崎と須藤の2人しかいなかったのだ。当時22歳の若き未亡人、須藤早貴に、当初から夫殺しの疑惑が付きまとっていたのは致し方なかろう。