おせち料理が一般の家庭に広まったのは江戸時代とされ、現在も知られている「五節句」が祝日となり、幕府の公式行事になりました。そのしきたりが次第に庶民の間にも広がり、1年に5回、豪華な料理が振る舞われるようになりました。庶民がこうした行事を自分たちの生活に取り入れ始めたことが、おせち料理が普及するきっかけになったのです。

こうして五節句ごとに作られる料理が、次第におせちの原型となりました。そして、時が経つにつれ、五節句の中でも一番早く訪れ、特におめでたいとされるお正月の料理として、おせちが定着していったとされています。

また、江戸時代の末頃から、おせち料理は重箱に詰めて提供される形が一般的になったとされています。

好きなものをカジュアルに。進化する現代のおせち

かつては、年末に材料を買いそろえ、手作りし、重箱に詰めてお正月に家族で楽しむのが一般的でした。しかし、現在では核家族化や共働き世帯の増加、少子化、未婚化といった社会の変化により、おせち料理を作るのではなく購入する人が増えてきています。

今では「和風」の枠にとらわれず、和洋折衷のものや少量タイプ、有名な料理人の監修による高級なおせちなど、付加価値の高い商品が豊富に販売されています。さらに、インターネット通販での購入も普及しており、和風・洋風・和洋折衷・中華風など、さまざまなスタイルのおせちが登場しています。多様化する食卓のあり方が、現代のおせちにも反映されているといえそうです。

おせちをお重に詰める意味とは?

おせちをお重に詰める意味とは?

重箱におせちを詰めるのは、「福が重なるように」という縁起担ぎの意味があり、さらに料理をほこりや虫から守り保存しやすい利点もあったためです。また、重箱は積み重ねて多くの料理をコンパクトに収められるため、家庭でも広く使われるようになりました。

一般的には四段重ねが基本とされ、最近では核家族化の影響で二段や三段の重箱が主流となっています。また、地域によっては五段重ねを取り入れている家庭もあり、五段目は神様から授かった福を入れておく場所として何も入れず空けておくことが多いようです。