「予定」と「予定」の間に「タスク」を処理する

仕事のリズムとして、「予定」と「予定」の間に「タスク」を進めていくというパターンを確立するのがお勧めです。

そのようにすると、「タスク」を実行する「開始時刻」ではなく、おおよその時間帯を意識しやすくなります。また、その時間帯の中でできるかできないかといったことも検討しやすくなりますから、「タスク」を終わらせるために必要な時間の見当もつけやすくなります。

また、「予定」がある時間には、「タスク」を一切進められないという事実が浮かび上がります(「内職」ができないという前提です)。

「予定」はかならずしも自分がそれだけの時間を必要とするという事実ではなく、外から勝手に押しつけられる時間でもあります。

「ミーティング」も、自分としては本当は20分あればいいと思っているかもしれませんが、実際には2時間拘束されるかもしれません。とすると「タスク」に使える時間はそれだけ少なくなるのですから、「予定」に突入する前に「タスク」を終わらせる動機づけがいっそう強くなるわけです。

ちょっとでも手のかかりそうな仕事だと特にそうですが、仕事を先送りしたくなる大きな要因の1つとして「やたらと時間がかかりそうだ」という先入観があります。この仕事を終わらせるには少なくとも1時間は必要だが、今は30分しかない。だから明日の午前中にするしかない!このように考えてしまうわけです。

しかし、これは非常に間違った考え方です。1時間かかる仕事が目の前にあって、今30分とれるなら、半分だけでいいから仕事を進めるべきなのです。

そうすれば「残りの仕事は全体の半分以下」となるので、仮に翌日の午前中に取り組むとしても、軽快に終わらせることができるでしょう。

逆に、仕事をまるまる先送りにすれば、翌日にもまったく同じ「重々しい1時間の仕事」が立ちふさがって、またしても先送りしたくなるはずです。仕事はそのようにしてたまってしまうのです。

そもそも仕事を最後までやり通す必要はない

人は、目標達成のために行動するとなると、緊張感が増します。その緊張感は、目標が達成されると当然解消してしまいます。ある程度の緊張感と、その持続があったほうが、記憶しやすいし思い出しやすいとも言えます。したがって、目標が未達成の状態に置かれていたほうが、記憶は持続しやすいのです。

目標が達成されてしまうと、その目標に関する細々とした記憶を保持しておく必要を、脳は感じなくなるのです。緊張感は脳にとってはコストなので、不要と判断されれば解消されるのです。

レストランのウエーターは、支払いが終わった注文より、支払いが済んでいない注文のほうをよりよく記憶しています。

このテーマについてロシアの心理学者ブルマ・ツァイガルニクは検討し、被験者に簡単なパズルを解かせる実験を実施しました。

パズルを解く最中に中断を入れるグループと、中断を入れないグループとに分ける。すると、パズルを完成させたかどうかにかかわらず、中断を入れられたグループのほうが、パズルに関する記憶が鮮明に残っていました。このように、目標が達成されていない課題の記憶は、目標が達成された課題の記憶より、再生されやすい。これを「ツァイガルニク効果」といいます。

継続的な仕事はキリの悪いところで打ち切る

一息で終わらせられるサイズの仕事は別として、少なくとも2~3日必要な継続的な仕事は、「キリのいいところ」まで進めることをせず、むしろキリの悪いところで強引に打ち切ってしまいましょう。

そうすれば、意識のどこかにその仕事の「続き」のことがとどまり続けるため、継続へのモチベーションをなくすことがなくなります。

誰しも身に覚えのあることだと思いますが、昨日はずいぶんやる気のあった仕事でも、今日になって続きをやろうとしてみると、案外やる気がしなくなったりして困るものです。

だから多くの人は、仕事を始める気になったら「イッキに終わらせよう!」とばかり、イッキにたくさんの仕事をこなすか、さもなければまったく手をつけないといったことになるのです。

この、イッキに片づける戦略も、片づけられる日まで先送りするというのも、仕事をためる結果になるばかりです。

そうではなくて、最後まで終わらせるなどと考えず、中途半端なところでいいから疲れる前に打ち切ることにして、かわりにまったく手がけないという日をなくすことです。

そうすれば、キリの悪いところで放置されている仕事を、翌日にも続ける気になれます。この継続によって、仕事が滞留しなくなるというわけです。

仕事術,心理学,ビジネスハック

(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

 

佐々木 正悟(ささき・しょうご)

心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。専門は認知心理学。1973年北海道旭川市生まれ。97年獨協大学卒業後、ドコモサービスで働く。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。帰国後は「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。

 

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