堀江 はい。現在の天皇陛下こと今上陛下は学習院の大学院時代、イギリスのオックスフォードのマーティンカレッジの大学院にも留学していますね。

 今上陛下の「帝王教育」は学習院高等科時代には始まっていたとされています。毎週1回のペースで、父宮(現・上皇さま)と共に昭和天皇を訪問して、お話をうかがうと同時に、同じ頃から学習院大学名誉教授だった児玉幸多から歴代天皇についての個人授業もお受けになったとのことです。

帝王学とは? 内容は時代ごとバラバラ?

堀江 ちなみに、歴代天皇が崩御した日に、天皇家では「式年祭」と呼ばれる儀式を内々で行う習慣があります。昭和時代には、「式年祭」の前日に天皇が学者を招いて、明日、祭事を執り行う天皇についての個人授業を受けるのだそうです。現在も同じような形で続いているかはわかりませんが……。

――明治から現在の天皇陛下にいたるまで、皆さまがお受けになられた教育のうち、公開されている一部の情報ではありますが、学ぶ場所もその内容も本当にバラバラなんですね。ここに共通点は見いだせるのでしょうか?

堀江 おそらく、明治時代以前はここまで皇太子の教育がバラバラということはなかったと思うのです。ただ、明治維新の後、日本の天皇は世界中の国々と交流を持つようになり、日本の中だけに収まる存在ではなくなりましたよね。

 とくに昭和天皇以降、国内や世界情勢はもちろん、そしてヨーロッパの君主たちとも対等に付き合える存在となるためのカリキュラムが、その時々の問題意識を反映して課されていると感じました。

 また、明治時代以降、父帝から皇子に皇位は継承されており、その関係性において、帝王学が授けられていったことが(すべては情報公開されてはいないものの)推測されますね。

帝王学は皇太子にだけ伝えられていくもの、悠仁さまは……

――となると、今後というか現在の帝王学の状況が気になるところです。

堀江 現天皇陛下には愛子内親王しかおられません。女性天皇が誕生しないと想定すると、皇位はまず秋篠宮家の当主である文仁親王、そして、そのお子さまである悠仁親王に継承されるという流れになると思います。