金利上昇のシミュレーション

バブル期以降、一時期を除いて住宅ローン金利が低かった間は、変動金利にしておくことで将来さらなる金利の低下も期待できた。今後も下がることはあるかもしれないが、年0.5%(つまり0.005)とゼロとの数値の幅の狭さを考えると、これ以上の低金利は起こりづらいし、起こっても金額的なメリットもあまり期待できない。

むしろ、変動金利で住宅ローンを組む場合は金利上昇のリスクを考える必要がある。以下、年0.25%刻みに上がっていくと仮定してシミュレーションしてみよう。比較の対象は「フラット35」で借りた場合の3760万円だ。

さまざまなサイトで住宅ローンの返済額のシミュレーションができ、なかには返済中の金利の変更も含めて計算できるところもある。住宅金融支援機構の「フラット35」のサイトでも2回の変更まで対応している。

まず、仮に金利の変更が1回の場合を考えてみよう。当初年0.5%の金利で借り入れる。年1.25%までであれば金利が上昇しても、「フラット35」での総返済額3760万円を下回る(年0.5%で1年借りて2年目以降年1.25%に上昇しても総返済額は3681万円だ)。

しかし、当初2年間年0.5%の金利で借り入れた後、3年目から年1.5%に上昇すると総返済額は3793万円となり「フラット35」を上回る。なお、年0.5%の時期が1年長く当初3年間であれば、4年目に年1.5%となっても3761万円で下回る。

将来金利が年2%になることを想定すると、金利が年0.5%であり続ける時期はさらに長期間必要で、9年を要する(10年目で2%に上昇すると3765万円、9年目では3804万円)。

もっとも、年0.5%の金利が9年も続いて突然年2%に跳ね上がる可能性よりも、もう少し細かく段階を踏んで上昇する可能性の方が高いだろう。では、2回金利の変化があった場合はどうなるだろうか。

1年目の金利が年0.5%、2年目に年0.75%と1回目の上昇が起こっても、2回目の上昇が年1.25%までなら「フラット35」のケースを上回ることはない。ただし、3年目に年1.5%に上昇すると返済総額は3801万円で上回ってしまう(年1.5%への金利上昇が4年目以降にずれこめば上回らないで済む)。

組み合わせはさまざまにある。ほかに当初1年は年0.5%、2年目は年1%として、3年目で年1.25%に金利が上昇しても3674万円で上回らないが、金利が当初1年は年0.5%、年1%の時期が2年間で返済4年目に年1.5%と上昇すると3793万円で上回る。

もちろん上記は0.25刻みで想定した目安だ。住宅ローンの変動金利は半年ごとにもっと細かい数値で変わる。自分の予想を基にさまざまにシミュレーションしてみよう。

変動金利の金利上昇リスクに備えるには 

シミュレーションした結果、変動金利ではなく、「フラット35」のような全期間固定型金利で借りるという結論に至る人もいるかもしれないし、変動金利のなかでも当初何年かは固定金利タイプを選択する人もいるかもしれない。そのどちらでもなく、あえて完全変動金利タイプを選択した場合、途中で金利が上昇した場合にはどのように対処すればよいだろうか。