海中にたつ鳥居がフォトジェニックな大洗磯前神社ですが、実は対となる、もう一つの磯前神社が、ひたちなか市にあるのです。大黒様と恵比寿さま、できれば二社合わせて参拝したいですね。強力な金運パワーや素敵な景色もご紹介します。
大洗磯前神社と酒列磯前神社があるのは?
大洗磯前(おおあらいいそさき)神社があるのは、茨城県の大洗町。太平洋に面した山の上にあり、神社前に広がる海岸は神域とされています。海中に立つ鳥居は「神磯(かみいそ)の鳥居」と呼ばれ、フォトジェニックな景観から人気のスポットとなっています。
酒列磯前(さかつらいそさき)神社があるのは、大洗磯前神社から車で20分ほど北上する、ひたちなか市にあります。やはり太平洋に面した山の上にありますが、大洗とはまた違った雰囲気で、ひっそりと静かな佇まいを感じさせる神社です。
伝説から知る二社の御祭神とご利益
二社の神社には、伝説が残されています。簡単に説明すると、ある時、大洗の磯前に降臨した神様たちがこの国を造りました。国を造り終えた後、神様は東海に行ってしまいましたが、人々を困難から救うために戻ってきたそうです。時は平安時代、天然痘などの疫病が大流行していた時だそうで、それを機に856年、二社がそれぞれの地に創建されました。
大洗磯前神社の御祭神は、大己貴命(おおなむちのみこと)で、慈悲深く福徳を授ける、縁結び、商売繁盛、子宝の神として信仰されています。酒列磯前神社の御祭神は、少彦名命(すくなひこなのみこと)で、医療医学の神として病気平癒、健康長寿、家内安全、商売繁盛などのご利益がある神様として信仰されています。
大洗磯前神社をお参りしよう
県道からまっすぐに伸びる階段を登り終えて振り返ると、鳥居の向こうに海が広がり、美しい景色が見られます。アニメ映画『ガールズ&パンツァー』では、戦車がこの階段を駆け下りた!と、話題になった階段です。
この神社の随神門(ずいしんもん)をくぐる際には、手前の狛犬にご注目。ここの狛犬は珍しく、石ではなく岡山県の備前焼です。その昔、船で西から物資を運んだ人々が、大洗に立ち寄った際、海運の神様でもあるこの神社に奉納したものです。
それからもう一つ、随神門の軒下の彫刻に目を向けてください。 大己貴命は、別名・大国主命(おおくにぬしのみこと)や、大黒様 と呼ばれます。大黒様と言えば因幡(いなば)の白うさぎが有名なお話ですね。そんなことから、軒下の宮彫りには、ウサギと波の彫刻がされています。
境内では、神前幕のほか、本殿の屋根や軒下など各所に菊の御紋が輝いています。それもそのはず、戦国時代に焼失し、祠(ほこら)だけだった神社を再建したのが、水戸藩主だった徳川光圀(とくがわ みつくに)公だったのです。
最後は、階段を下って横断歩道を渡り、商店の脇道を抜けると、人気スポットともなっている 神磯の鳥居 が現れます。この場所は、神様が降り立った場所ですから、とても神聖な場所。 フォトジェニックでありながら、パワースポット でもあるのですから、人気なのも納得ですね。
ゴツゴツした岩礁に砕け散る白波と鳥居を見ていると、時間を忘れてしまいます。徳川光圀公も、あまりの美しさに感動し、「あらいその岩にくだけて散る月を 一つになしてかへる月かな」と詠んでいます。