「お子さんの声に耳を傾けると、大人が思うほど、理由は複雑ではない場合もあるんです。私から一言『学校で何に困ってるの?』と聞いたら『進級して勉強についていけなくなった』『行ってもつまらないから家にいる』と、あっけらかんと語ってくれるお子さんもいて、医療側も『学校へ復帰させなければ』と躍起になるのではなく、あくまでもお子さんのペースを一番に考えて、入院中の日常生活をサポートしています」
◆問い詰めず丁寧に「理由」を聞く姿勢が大切
なぜ、子どもたちは「学校へ行きたくない」と思うのか。こど看さんは、精神科医・本田秀夫さんの言葉を紹介してくれました。
「児童精神科医・本田秀夫先生の言葉が印象に残っているんです。子どもたちは『勉強が楽しい』『勉強以外の活動が楽しい』『友だちと一緒に過ごすのが楽しい』『先生との関係が良い』のいずれか1つでもあれば、かろうじて学校へ行けるとおっしゃっていて、とても納得しました。
見方を変えると、4つの条件がいずれも当てはまらなければ不登校になりうるともいえます。私が実際にふれてきたケースでは「漢字がバラバラに見える」「授業中にさまざまな物音が気になる」といった理由で、通学できなくなった子もいました。そうした背景は、子どもたちの話をじっくりきいてみないとわからないことです」
こど看さんは、子どもたちの不登校が長期化する要因も考察します。
「考えられる要因の一つとしては周囲との比較で、日に日に学校に通いづらくなってしまうお子さんが少なくないと思っています。引きこもっている状況で『他の子は学校へ通えているのに、自分は通えてない』と、どんどん追い込んでしまうんです。大人の会話も意外と聞いていますし、自室から親御さんの会話が聞こえてきて『今日も親は自分が学校に通えていないと話している。僕のせいだ……』と、自分を責めてしまうお子さんもいます」
◆学校を否定するわけではない