◆“尾野真千子らしさ”とは
結構長い間スナックで働いていたことをケロッと言ってしまえるところも、いかにも尾野らしい。
ドラマ『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』(フジテレビ、2007年)あたりから存在感を増し、『カーネーション』(NHK、2011年)ではついに朝ドラのヒロインに抜擢された。
どこか湿り気があるが、基本は可憐。それが他の俳優にはない尾野真千子感なのだが、ひょうひょうとしたところもチャーミングに映る。FJネクストのコマーシャル作品「答えと問い」篇の尾野はすごい。
答えと問いについて哲学的な問答が繰り広げられる。「答えをください」といざ核心部分に迫られると、「私も知らん」とあっさり。人を食ったような空気感に、思わず唖然としてしまうこの不思議さ。尾野真千子にしか絶対に演じられない。
さらにDisney +で2022年に配信され、今年10月期の新ドラマとしても放送されている『すべて忘れてしまうから』は、そうした尾野真千子らしさがこれでもかと発揮されている。
主演の阿部寛にはぴったりの適役である小説家に対して、尾野は彼の過去に関係する謎の女性をミステリアスに演じている。
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