◆ユニークな下積み時代
尾野の演技は、なぜこれほど観客の心をとらえるのか。秘密はどうも下積み時代にありそうだ。これがなかなかユニーク。奈良県出身の彼女は、14歳の頃、当時通っていた中学校でロケハン中の河瀨直美監督に見出される。
結果的にカンヌ映画祭で史上最年少となるカメラ・ドール賞を河瀬監督が受賞した『萌の朱雀』(1997年)で映画主演デビューを果たした。高校卒業を機に上京。2021年に『おしゃれイズム』(日本テレビ、5月16日放送回)に出演したときには、27歳の頃までスナックで働いていたことを吐露した。
なるほど、スナックか。別番組でも客からもらった1万円で1ヶ月節約暮らしをしていたことを明かしているが、彼女の演技が自ずと帯びる湿り気みたいなものは、こうした経歴に由来しているのかもしれない。
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