尾野真千子の演技にはいつもふるえる。純粋に演技に感動する他、そのユニークな経歴にも驚く。
テレビ東京で毎週金曜日深夜に放送されているドラマ『すべて忘れてしまうから』は、とっておきの尾野真千子作品。作家・燃え殻による同名エッセイをドラマ化したものだが、特にこれは鳥肌ものだ。
「イケメンと映画」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、“尾野真千子らしさ”を考える。
◆大女優の心意気がイケメン
これまで筆者は、あえてイケメンと呼びたくなる女性俳優として、前田敦子、田中みな実の名前をあげてきた。さらにもうひとり、尾野真千子を加えてみたいのだが、どうだろうか?
尾野真千子。彼女ほど映画的な存在も数少ない。すでに20年以上のキャリアだが、絶対的とも唯一無二とも言える存在感で常に芯を食った演技を見せ続けている。
近年で注目すべきは、名古屋学芸大学のプロジェクト作品『PLASTIC』(2023年)に尾野が出演していたことだ。同作は『EUREKA』(2000年)などの仙頭武則プロデューサーの下、プロと学生が映画を製作する画期的なもの。
これほどの大女優が、撮影規模ほど小さいものの、意義のある作品に出演し、協力するという心意気がほんとうにカッコいい。見た目も性格も紛れもないイケメンではないだろうか。
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