ランチタイム、ごった返す食堂で結さんは所在なさげです。立川さんが指示すべきではありますが、何しろ立川さんはこの日まで結が来ることを知らなかったようですからね。仕事を用意しておけというのも無理があります。

 厨房を追われた結さんは、カウンターで注文を取ることに。普通に考えて食券制にしたほうが効率的ですが、星河では「ネギ抜き」とか「大盛り」とか「チーズトッピング」とか、社員から細かいカスタマイズを受け付けているようなので、これだと食券制は厳しいね。これはこれでいいサービスだと思いますが、初日の結さんをカウンターに立たせるのは明らかに悪手です。案の定、結さんの情報処理能力の低さによって食堂は混乱をきたしてしまいます。結さん、言われたことを書き留めることもできません。こんな必要以上に無能に描く必要はないと思うんだけど。

 その後、結さんは皿洗いに回りますが、ナレーションで「ひたすら雑用」と表現されます。こうして、誰かの仕事に対して貴賤をつけるのもまた『おむすび』の特徴です。「農業なんて」「バイト長なんて」、それに「カラオケビデオの女優なんて」というのもあったね。行間から差別意識がにじみ出てドラマを汚します。

 ようやくすべての仕事が終わったのは、9時過ぎ。星河がフレックスを導入しているという話はありませんでしたし、結はランチの仕込みから手伝っていますので、おそらく残業でしょう。毎日こんなだと、36協定とか大丈夫かな。労基にツッコまれたりしないかな。

 結さんが仕事を終えると、翔也が待っていました。落ち込む結さんを連れ立って、翔也はタコ焼きに誘います。

 食事管理が何よりも重要である、そこに結さんという主人公の存在意義を置いているドラマで、簡単にタコ焼きを食いに行ってしまう。そもそもこのドラマにおける「おいしいものを食べるとつらいことを忘れられる」というメッセージと「アスリートの食事管理」という設定がかみ合っていないことが明らかになるシーンです。そういや澤田は社食のメシ食ってなかったよな。高たんぱく低脂質のお弁当を自作してきていました。プロ行くやつはそれくらい徹底している、という描写をしたうえで翔也に無駄食いさせている。