それでも上司がまたなだめて、とりあえず面接をしてみることになる。そうなれば、当然一次面接には立川さんだって同席するはずだ。忙しくて同席できないなら、面接官に「面接の際にこれだけは確認しておいてほしい」と要望を出してしかるべきだ。筆記試験やインターン、試用期間があってもいいだろう。

 いずれにしろ、正式採用の初日に顔合わせで立川さんが「栄養士なんかいらん」と米田結に告げるシーンが表現するのは、星河電器という組織の破綻です。まるで機能していない。設計や製造部門でも同じようなプロセスで採用を決めていると想像させるし、そんな企業をいい会社だと思えない。

 米田結は、あんまりよくない会社に就職したな。たった数秒のシーンで、そういう印象を与えています。

 それでも、デコデコのケータイに貼り付けたギャルとのプリを見返し、気合を入れる結さん。ギャル魂でがんばるのだ。とりあえず立川さんは何も指示をしてくれないので、イケメン調理師・原口(萩原利久)の言うことを聞いてパートさんと一緒に食材の仕込みをすることになりました。

 一方野球部では、翔也が右肩を内旋したり外旋したりしながら違和感を確かめつつ、バッティングゲージを眺めています。フリー打撃をしているルーキー・大河内は、大学時代に2年連続ホームラン王を獲っているそうです。情報を伝える専門家であるスポーツ紙の記者が単に「大学の」と言ってるので、六大学や東都、関学、関六、近畿、九六などすべての大学リーグを通じてホームラン王を2年連続で獲っているということでしょう。きっとドラフトでも大注目だったはずです。「投の澤田、打の大河内」くらいの騒がれ方をしたんじゃないかな。そんな選手が大卒から社会人に来る事情にも、普通に考えて説明が必要です。

 翔也が大学ホームラン王を知らなかったことにも違和感はあるけど、こいつ「変化球」も知らなかったからな。自分のプレー以外に興味がない天才肌ということで理解しておきましょう。