さらに言えば、今は一億総審査員時代とも揶揄(やゆ)されるほど、視聴者一人ひとりが審査の目を持っています。審査員ですら視聴者側に審査されるようなムーブすらあるほど。

『公式M-1グランプリ大全2001-2024 20回大会記念 (ヨシモトブックス)』ワニブックス
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M-1グランプリ開始当初は、まだ視聴者が面白い“偉い人”に審査を任せてる側面が強かったように思います。でも今の視聴者たちは、すでに当時とは違う賞レースの楽しみ方を身に着けているのです。

証左として、2022年よりスタートした『THE SECOND』(フジテレビ)の全客席審査は受け入れられていますし、10月にAmazon Prime Videoで配信された『最強新コンビ決定戦 The ゴールデンコンビ』も同様の審査方法で不満の声は挙がっていません。

ここまでくると、M-1グランプリの審査員にも絶対に松本人志がいる必要性はないという結論に達してしまいます。

◆賞レースの功労者として見届け人でもいいのでは?

しかし、私は「松本人志なんていらんかったんや!」なんてことを言いたいわけではないのです。第一回大会だったM-1グランプリ2001で、一般審査員の存在が酷評された頃から考えれば、お笑い賞レースを見る視聴者の目は大きく変わりました。

これはきっと、松本人志が審査員としてM-1グランプリに関わり続けたからこそ。賞レースを成熟させた功労者として、必要不可欠な存在だったことは疑いようもありません。

今年のM-1グランプリが、松本人志の復帰の場となるか否かはまだわかりません。しかし、もしも復帰するにしても、審査員ではなく『THE SECOND』同様の見届け人の立ち位置くらいでもいいのでは?と個人的には思います。