『インフォーマ』という物語が何を変えたかと言えば、情報屋の価値を高めたことだ。世の中を見ればわからないか。軽々しく情報屋風情がーーと、今の世の中はなってはいまい。ただし冒頭と重複するが、大事なのはその使い方である。
木原も三島も人を裏切ったりしてまで、情報に固執したり、情報を駆使しようとしたりはしない。
今の世の中に一番伝えたいことは、そこである。話題になればー目立つことができればーそれでよいということではない。扱う情報の内容や質よりも、人間としての質がまず優先されなくてはならないのだ。
木原や三島が、親しかった人間を裏切ってまで得た情報によってヒロイズムを感じていたら、がっかりしないか。
それはフィクションも現実も同じことで、そんなものに人々の共感や興奮を得ることなんてできない。みんなを惹きつけられる、「すごいね」と言われるような物語にはならないのだ。
4話では広瀬が突如、大胆な行動に出た。そして、迎える第5話である。
そろそろ龍之介の「都市伝説みたいなファイルは実在するんでしょうか?」の名台詞が今夜あたりに聞けるのではないか。
中盤戦のスタートである。今夜も寒い夜に熱く興奮して欲しい。
私は『インフォーマ』のプロデューサーのジョニーとビリヤードをしながら、オンタイムでその動向を捉えたいと思う。なぜかって、『インフォーマ』は実在するからに決まってるからではないかと言えば、言い過ぎだろうか……。
(文=沖田臥竜/作家・小説家・クリエイター)
ドラマ『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』
毎週木曜日23時~ABEMAにて放送
週刊タイムズの記者・三島(佐野玲於)は、世間を騒がせている〈闇バイト殺人事件〉の黒幕を調べるために、編集長の命でタイ・バンコクへ飛ぶことに。そこで三島を待ち受けていた人物は……2年前の〈火だるま殺人事件〉で三島に地獄を味わわせた、“インフォーマ”の木原(桐谷健太)だった。木原に翻弄されながらも取材を進める三島。そして2人の前に、インフォーマを名乗る謎の男・鬼塚(池内博之)が立ちはだかる。木原と三島は、〈闇バイト殺人事件〉で盗み出された”謎のブツ”をめぐり、鬼塚・そして現地マフィアと壮大な情報戦に巻き込まれていく——。