めっちゃデカい逆張り
――ちなみに、日比野さんは作家として「売れたい」と考えることってありますか。
日比野:どちらかと言われたら「売れたい」という側だと思います。その気持ちは、「自分のことをわからせてやりたい」につながっているんです。「わかるやつだけ、わかればいい」ではダメで。わからせるためには、やっぱり売れなきゃいけない。「わかってもらわなきゃ意味がないやろ」って思います。
たとえば、松本人志さんは「わかるやつだけ、わかればいい」のスタンスのように見えたけど、その過程で結局「わかられた」。そういうところで、松本さんを理想に思う部分はあるかも。
ただ私にとって、昔から小説がいちばんで唯一の話し相手だったから、売れても売れなくても、何があっても書き続けると思います。もし1人で無人島に行っても書き続けるし、それは全然、当たり前のことなんです。かんぺきに幸せになったらもう書かないかっていったら、そんなことはないだろうし。
――作家やアーティストには、「幸せになると素晴らしい作品は作れない」という言説もありますよね。
日比野:不幸の渦中にいないと作品が作れないなんて、きっと誰も認めたくはないはずです。でも、やっぱりある程度、それはあると思う。ただ、そこで止まってたらだめなんです。
だから「細く長く」か「太く短く」のどっちかしかないんじゃなくて、「太く長く」生きることができ、その過程ですばらしい作品を作り続けることは可能だと、作家さんでも芸人さんでも、カッコいい人たちには全員、それを証明してほしいなと思います。そうでなければ、私がやるしかないですよね。
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