ちさまひロスに陥っている人も少なくないと思います。髙石あかり&伊澤彩織がダブル主演した深夜ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(テレビ東京系)が、11月20日に最終回を迎えました。ちさまひコンビが、映画界とテレビ界に残したものを振り返りたいと思います。
女の子の殺し屋コンビ、杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)が活躍するガールズアクションムービー『ベイビーわるきゅーれ』(2021年)は、低予算映画ながら関係者の予想を上回る大ロングランヒットを記録しました。『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(2023年)、『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』(公開中)とシリーズ化され、ちさまひコンビのアクションはさらなる進化を遂げます。
過去の女性アクションものは、性的なシーンを見せ場にしたものがほとんどでした。露出度の高い衣装でのアクションを、ヒロインたちは強いられてきたわけです。そんな女性アクションの歴史を変えたという点でも、阪元裕吾監督が生み出した『ベビわる』は斬新でした。性的なサービスショットなしの、ちさまひのハイレベルなアクションにファンは魅了されたのです。
ちさまひコンビの仕事(殺人)の合間のゆる~いトークも、『ベビわる』の大きな魅力です。1996年生まれの阪元監督はシナリオライティングにも優れ、コロナ禍での派遣切りや雇い止めなどの辛酸を舐めさせられたZ世代の生きづらさ、働きづらさをコミカルかつ的確に捉えていました。
インディーズ映画から、まさかの地上波連続ドラマ化という驚異の大進化を遂げたのが、今年9月から始まった『ベビエブ』こと『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』です。シリーズ前半戦の「風林火山編」では老害と化した伝説の殺し屋(本田博太郎)をめぐる悲喜劇、シリーズ後半戦の「ジョブ・ローテーション編」ではコンビを解消したちさまひがそれぞれモラトリアム期を卒業し、大人として自立する姿が描かれました。