現在、テレ東系で放映中のドラマ『Qrosの女 スクープという名の狂気』(原作は『Qrosの女』光文社文庫)。週刊誌のトップ記者が主人公となっており、話題のCM美女「Qrosの女」の正体を探るうちに、芸能界の闇が浮き彫りになる……。メディアネタを扱う本サイトとしても今クールで最も興味深いドラマとなっているが、今回は原作者の作家・誉田哲也氏とドラマの取材協力、監修を務める元週刊文春記者の赤石晋一朗氏(情報屋のタクシードライバーとしても出演!)に作品の見どころ、そして週刊誌を取り巻く現状などについて話を聞いた。

赤石晋一郎氏(以下、赤石) 今回ドラマ化された『Qrosの女』ですが、週刊誌を舞台にしたドラマということで、私も週刊誌の実際をお伝えする「取材協力」という形でかかわったほかに、情報屋のチョイ役で出演までさせていただきました。原作小説は2013年に出版されていますが、まだ「文春砲」も話題になっていなかった時期ですよね。まず、週刊誌を舞台に物語を書こうとしたきっかけなどはあったのでしょうか。

誉田哲也氏(以下、誉田) 実は最初から週刊誌を舞台にしようと考えたわけではなくて、もともとはテレビでCMを見ていて、「この娘、誰だろう?」って思ったのが最初なんです。この時は大手アパレルのCMだったんですが、当時は有名タレントさんではない人も結構起用していて、今だとネットで調べればたいていの人の素性はわかるんだけど、「いくら調べても何者なのかわからなかったら面白いんじゃないか」と思ったところからこの物語が生まれました。

赤石 その謎を追いかける主人公として週刊誌記者に注目されたわけですね。ドラマでは桐谷健太さんが主人公「週刊キンダイ」の記者・栗山を演じています。

誉田 僕は以前、新聞記者を主人公にした小説は書いていたんですが、やっぱり謎の女性の素性を調べる役としては新聞ではなく週刊誌の記者のほうがいいですよね。週刊誌記者を視点人物にするには、新聞記者とは違うロジックが必要になってくると思ったのでその辺はかなり取材しました。