「これはどういうことなんだ?」目を丸くするカツオさん

カツオさんは空腹を忘れてインターネットで色々な年齢や保険商品を想定し試算してみます。

次は2017年に契約をして1年しか経っていない「定期保険」です。結果はどうでしょうか? 想定加入者は40歳男性で、2017年に死亡保険金1000万円、10年定期、月額保険料2374円の「定期保険」を契約しました。この定期保険は2018年4月に保険料の改定があり、改定した金額は次の通りです。

2018年 41歳男性 :死亡保険金1000万円、10年定期、月額保険料2074円

2017年と比較すると月額保険料の差額は300円となります。10年定期なので支払総額は「2374円×12か月×10年=28万4880円」となります。

では、2017年に加入した保険を1年で解約し「同じ保険会社の同じ保険」に入り直すと総額はどうなるのでしょうか。

(1)2374円×12か月×1年=2万8488円
(2)2074円×12か月×9年=22万3992円
(3)2万8488円+22万3992円=25万2480円

総額で3万2400円安くなります。しかも、保障が1年延びます。「これはどういうことなんだ?」カツオさんは目を丸くしました。

「標準生命表」ってなんですか?

なぜ、上記のような不思議な現象が起こるのでしょうか。背景には、冒頭で述べた「標準生命表」の改定があります。標準生命表は生命保険の責任準備金を決める大切な指標で、11年ぶりの改定となりました。簡単に説明すると、長寿時代を反映して「各年齢の死亡率」が引き下げられたのです。

死亡率が引き下げられると、定期保険、収入保障保険など一定期間の保障がある商品は「死亡リスクが減る」ので保険料も値下がりします。終身保険については、人はいつか必ず死ぬことに変わりませんが、近年は死亡時期が延びているので、保険料も少し下がります。

今回、もっとも保険料が値下がりしたのは「定期保険」や「収入保障保険」等です。保険会社にもよりますが、最大20%も保険料を下げた会社もあります。いずれにしても、保険料が安くなるのは、これから契約を検討している人には朗報ですよね。特に定期保険は、商品の優劣の判断が比較的容易な保険商品です。一定期間の死亡保障なので死亡保険金が同じ金額なら、もちろん保険料の安い商品がお勧めです。

保険見直しの絶好のチャンスが到来?

保険料の改定は、保険会社によってまちまちです。中には改定していない会社もありますが、ひょっとしたら読者のみなさんが加入している保険も見直すことで「保険料を安くする」ことができるかも知れません。近年は「健康なら保険料が安くなる」リスク細分型の保険も数多く発売されていますので、気になる人は調べてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、ハナコさんが読んでいた『生命保険 実名ランキング』は本当に発売しています。FPの横川由理さんと私が監修を務め、先週25日に発売したばかりのムック本です。2018年4月の保険料改定のデータも盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてください。ただし、読むのに夢中になって夕食をつくるのを忘れないように。

文・長尾 義弘(NEO企画代表、ファイナンシャル・プランナー、AFP)/ZUU online

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