◆目に見えていることなんて、ほんのわずかなのだと改めて知る

当たり前すぎることだけれど、目に見えていることなんて、ほんのわずかでしかない。

「2人が苦手」な彼ら。ずっと“もやもや”を抱えてきた感覚もとても近しい。だけど、同じ時代に同じクラスにいたとして、友達にはなっていなかっただろう。それぞれに抱えてきた“もやもや”を言葉にできるまでに時を過ごして、いま、偶然、他人として集まったから(幼なじみはいるが)、やっとかけがえのない4人になろうとしている。

1話2話と、4人は椿の家で自分の席に着いた。これからも彼らは、いろんな“もやもや”を表に出しながら、「今度」を重ね、関係性を変えていくだろう。

その先に何があるのかはまだ見えないが、本作は、4人をスポット的にさまざまな角度から多くの光で照らしつつ、それを見ている私たち自身を鏡のように映す。それだけでなく、たとえば私にとっての今回の夜々への涙のように、自分とは全く異なる、いままで見えていなかった相手の輪郭まで照らす。そんな多くの可能性を持つ作品かもしれない。

<文/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi