◆共感ではなく、知らなかったからこそ流れた涙

ドラマ作品を見続ける重要ポイントに、登場人物の誰かの気持ちに“共感”して、笑ったり泣いたりしたいからと聞くことがある。

群像劇などは、多くの登場人物のなかから、「自分はこの人が好き」「この人は自分に似ている」「似てはいないんだけど憧れる」などと、探しあてることを楽しみのひとつにしている人もいるだろう。

本作の第2話終盤で、私は泣いた。だがそれは、上記のどれとも異なる感覚であり、とても不思議な涙だった。

潮ゆくえ(多部)、春木椿(松下)、深雪夜々(今田)、佐藤紅葉(神尾)の4人は、「2度めまして」「3度めまして」として、椿の家でそれぞれの席に着く。その帰り道、少し距離の近くなった夜々が、“交換ノート”の思い出をゆくえに話す。自分に来たノートは、すぐに書いて回していたという夜々。