◆ヒエラルキートップのもやもや
「私、“夜々に嫌われたら終わり”みたいな謎のうわさとかあって……。嫌われたくなかっただけなんですけどね」と。周囲が勝手に圧力を感じていたらしいのだと。その告白を聞くうち、いつの間にか涙が出ていた。
私も2人組は苦手だし、同窓会も行きたくない。だが、夜々とは全く属性が異なる。だから彼女の抱えてきた苦しみは知らない。彼女の気持ちが“わかった”から、“共感できた”から泣いたのではない。
知らなかったから涙が出たのだ。第1話冒頭では、幼いころ、母親がいなくなった途端に、女の子らしい服装を脱ぎ捨てていた夜々、そして同僚からひどい言葉をぶつけられ「カタツムリになりたい」と繰り返していた夜々。
ひょっとしたら、子ども時代、たしかに私も耳にしたことのある「あの子に嫌われたら終わり」という謎の言葉をささやかれ、ヒエラルキーのトップにいると思われていた子にも、人からは見えず、自分でも言葉にできない“もやもや”があったのかもしれない。
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