■芦田愛菜ってやっぱ上手いんだな

 このドラマ、芦田愛菜が演じている響ちゃんというキャラクターは、難しい立場から始まりました。なんらかのトラウマを抱えて父親に反発している、くらいのところは共感を呼びますが、父親が自分の職場でオケのコンダクターをやること自体がまず気に食わない上に、職場の上長の命令で、そのオケを潰す役割まで課されてしまった。

 ドラマが面白ければ面白いほど、私たち視聴者は「このオケに再生してほしい」と願うわけで、そうなってくると、おのずと響ちゃんを敵対視することになる。父親との過去のトラブルも具体的には明かされていませんので、「ワケわかんないけど邪魔してくるやつ」に見えてきちゃう。

 このへんは作り手側も気を使っていたようで、第1話からちょこちょこ愛嬌を披露して「ホントに父親を嫌いなわけじゃないよ」という小ネタは挟んでいましたが、それをやりすぎると今度は「素直じゃないだけ、ただのツンデレ」みたいなことになって緊張感が削がれるので、塩梅が実に難しいところです。

 今回、リンゴを大量に買い込んだ父親に響ちゃんは難しいリクエストをします。