「公判では、検察側が野崎氏の死を『被告による遺産目当ての殺人事件』と主張。対して須藤は『殺していないし、覚醒剤を飲ませてもいない』と無罪を訴えてきた。
『遺産目的で結婚したことを、私は誰にも隠していません。社長(野崎氏)自身が月100万円あげるから結婚してほしいと言ったわけだし、遺産も私にもらってほしいと。結婚したのは、お金の関係です』」

 11月11日の2回目の被告人質問で、須藤はそういい切ったという。

「2017年12月、須藤は初対面の野崎氏から現金100万円を手渡され、結婚を申し込まれた。猛アタックが続き、須藤は2018年2月8日、『毎月100万円をもらう』『田辺市には住まない』『セックスをしない』などの約束を条件に、野崎氏と入籍。公判では、金で結ばれた特異な夫婦関係の実態に焦点が当てられることになる。
新婚初夜の生々しい描写も明かされた。約束通り、須藤は野崎氏との性行為を拒否。野崎氏に頼まれ、ゴム手袋で陰部に触れたものの、勃起はしなかった。以後も、田辺市の自宅に泊まった際に同様の行為があったが、結果は同じ。野崎氏が20年来の愛人であるX子さんを引き合いに出して『俺を勃たせられるのはX子だけだ』と言い、須藤が『じゃあX子に頼みな』と突き放すこともあった。
『社長から「勃たないからもうダメだ。覚醒剤でも買ってきてくれ」と頼まれました。私は冗談だと思い、「お金くれるならいいよ」と言うと、社長はバッグから20万円を取り出して渡してきました。お金は自分の口座に入れましたが、社長から後日、「あれ、どうなった?」と催促されて、「マジなの?」と言いました』」

 須藤は催促された当日の同年4月7日、ネットの裏掲示板をみて、覚醒剤の密売人と接触を図り、注文の品を入手したというのだ。

「入手したものを渡した翌日の4月9日、夕食の時に社長から『あれ、使いもんにならん。ニセモンや。もうお前には頼まん』と言われました。それ以降、社長から覚醒剤の話題が出ることはありませんでした」