工藤:通訳は普通に生活していたら知らないはずの世界や、会わない人に会えるのがとても魅力的な仕事ですよね。
安保:そうですね。言葉を代弁して喋ることができるというのはとても力をもらえる仕事だと思っています。記憶に残っていると仕事と言えば、アルコール依存症の方の国際会議です。日米欧の患者が集まって、どうにかアルコール依存症から脱しようという会議でした。参加者の皆さんの思いの丈を訳すのが大変でした。通訳は憑依する仕事だと思っていますが、1日終わったらどっと疲れが押し寄せてきました。
工藤:コロナ禍で通訳現場もリモートに大きくシフトしてきましたが、安保さんもリモートでご対応されていますか?
安保:実はリモートは全体の10%か多くても20%ぐらいだと思います。私は自宅で通訳するというより、現場の通訳ブースに入って仕事することが多いです。自宅だと回線が切断されるなどリスクが高いし、あとは通訳同士のハンドオーバーは現場の方がスムーズですよね。
工藤:それだけ国際会議のお仕事が多いということですね。DX時代と言われている時代に、これからの通訳はどうなると思いますか?また前のように現場に戻るのか、リモートが進化していくのか?
安保:リモート対応はなくならないと思います。アフターコロナではハイブリッドがニューノームになると思っています。通訳の海外出張は確実に減ると思いますが、視聴者が何千人もいる場合には通訳者だけスタジオなどに集まることもあると思います。毎年ラスベガスの大きなコンベンション会議も、去年からオンライン開催になったのですが、その方が圧倒的に参加者の数が多いんですよ。
現場でのマストアイテム
工藤:通訳は体が資本だと思いますが、運動だったり、健康法があったりしたら教えてください。
安保:スポーツクラブに登録しても全然続かないので、今はパーソナルトレーナーをつけています。運動は苦手ですが、疲れ具合を見てやってくださるんです。私はどちらかというと夜にならないとなかなかエンジンがかからないタイプで、寝るのが遅くなってしまいがちです。その代わりお休みの日はよく寝ています。お酒も好きで、次の日の資料がない時は少し飲んでいます。お酒を飲みながら友人とおしゃべりするのもストレス発散になっています。最近はコロナでそういった時間がなかなか持てないのが残念です。あとなるべく発酵食品を食べるようにしています。自分でぬか漬けを作ったりしますよ。ぬか漬けとお酒が最高です。(笑)
工藤:これから何か目指すものはありますか?
安保:今年は年女なので第2の人生を考え始めています。もちろんできる限り通訳という仕事は続けて行きたいと思っています。大学でも教えていますが、実はこの2年間コロナで休校させていただきました、zoomでもできるかもしれませんが、私は対面で教えることにこだわっています。今年の4月からまた学校が始まります。通訳を教えるにあたって、次世代の通訳って何?と自問自答しています。
工藤:私はいつも「どんな仕事をされていますか?」と聞かれた時「通訳・翻訳会社です」と答えるのに違和感がありました。今ではグローバル人材をサポートする会社と答えています。グローバルの舞台で活躍できる日本人はすごく少ないと思いますが、そういう人たちをサポートする仕事はこれからも残っていくと思っています。通訳サービスがその一助になればと思っています。最後に、これから通訳を目指す人へ安保さんからぜひメッセージをいただけますか。
安保:各企業の中で英語を喋れる人が多くなってきている中で、自分が通訳として何を橋渡ししたいのかを考えてほしいです。通訳を目指す方はこの仕事が好きだから多分目指されていると思いますが、やっぱり好きであるということは大事ですよね。あとは、通訳は人間が好きじゃないとできない仕事だと思います。
工藤:本日はどうもありがとうございました。是非今年はトラの会をやりましょう!
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