次回予告では、「道長は公ぎょうらにも働きかけ、三条天皇(木村達成)に譲位を迫るも、代わりに三条の娘を、道長の息子・頼通(渡邊圭祐)の妻にするよう提案される」とあります。実際のところ、三条天皇の譲位条件は、道長が熱望しているように、彼の外孫である幼き敦成親王(一条天皇の次男)を次の帝にするけれど、敦成親王が天皇に即位したら、三条天皇の長男・敦明親王(阿佐辰美さん)を東宮にするというものだったはずです(しかし、天皇の崩御後、敦明親王は東宮の位を辞退)。
なぜドラマでは敦明親王の今後ではなく、娘を道長の長男・頼通の妻の一人に押し込もうという話になるのかは不明ですが、視力・聴力を失ってもなお強気な姿勢を崩さない三条天皇を描こうとしているのでしょうか。この手の「創作要素」が必ずしもドラマにとって良い結果につながっているわけでもないことが目立つ気がするのが、本作の残念なところです。
残念といえば、前回のドラマではタイトル映像を挟んだにせよ、開始12分をすぎても主人公のまひろは表情の演技こそすれどセリフが皆無で、さすがに疑問を感じました。もう慣れてしまいましたが、主人公=傍観者になりすぎている気がします。史実をベースにした「日本史もの」、女性主人公だと確かに描くのが本当に難しいのはわかるのですが……。
本作は名優ぞろいですし、小道具・大道具も豪華でした。調理方法次第でもっと美味しく仕上がる素材だったのに、と思ってしまうのが、『光る君へ』というドラマへの率直な感想といえるでしょうか。すべてがきれいなんですけどね……。