―連載「沼の話を聞いてみた」―
他人に理解されにくい病は数多くあるが、そのひとつに「化学物質過敏症」がある。生活のなかで触れるわずかな化学物質によって、頭痛や吐き気、めまい、かゆみほかさまざまな不定愁訴(ふていしゅうそ)が現れるという。
40代の林田ナオさん(仮名)も、化学物質過敏症と診断されたひとりだ。
はじまりは、10年以上前。派遣社員として働いていた会社の商材によりアレルギーがひどくなり、仕事はおろか、日常生活もままならぬほどに体調が悪化した。そこから医師の指導や書籍の情報を頼りに、農薬、添加物、化学物質を極力避ける生活を実践している。
ところが次々と、首をかしげたくなる出来事に遭遇したと話す。その体験のはじまりを聞いていこう。