◆誰に対してもいつもどこか遠慮気味の夏
ただ、夏は、他者との距離の取り方が不器用であるという問題点は容易には解消されない。夏休み、南雲家で海と生活体験するにあたり、弥生が髪を結う練習台になってくれる。女性の繊細な髪の毛におっかなびっくり触れる夏に、弥生は「性格出てる」「やさしすぎ、ゆるすぎ」とからかう。
やさしすぎて、誰に対してもいつもどこか遠慮気味の夏だから、弥生や水季のように自ら距離を縮めてきてくれる人が助かるのだろう。ただし弥生は、水季のように天然でぐいぐい行くタイプではなく、誰に対しても無理してサバサバしたように見せてきただけなのだ。
「自分で自分のことをやるのはどんどん上手になった」と髪を結いながら弥生は自分の過去を思い出す。
有村架純の髪の毛がサラサラで弾力もあって、三つ編みがするっととける様子はまるでシャンプーのCMのようであった(シャンプーのCMは最近はやっていないがまたやっていただきたい)。
親との関係がよくないため、弥生は夏と親を会わせることをためらっている。夏は家族仲がめっぽいいいにもかかわらず、弥生をまだ紹介しないでいた。
夏の両親はうすうす恋人がいるのは知っていて、紹介される機会を待っている。その前に海のことを話さなくてはいけない。「練習しとく?」と弥生に聞かれて、すこしヘン顔をする夏とその顔をちょっと真似する弥生が微笑ましい。穏やかな空気でほんとうにホッとする。
◆「お母さん許さない」から気持ちを切り替えて
そして、ついに夏は実家の家族に海のことを切り出す。月岡和哉(林泰文)、月岡ゆき子(西田尚美)、月岡大和(大聖)と夏、4人の食卓で、てっきり結婚したい人の話だと思って「コロッケ食べながら聞く話じゃないし」と和哉は言うが、夏はコロッケを食べながら「子供がいる」と明かす。
授かり婚と誤解して、むしろ喜ぶ家族たち。おそらく、夏に気を使ってもいるのだろう。そうじゃないのだと、不器用にゆっくりと夏が説明をはじめるが、真相を知ったゆき子は表情を曇らせる。