◆彼女がいることの意味
――先ほどイノベーターという言葉もありましたが、この方たちがいるから後につづいた女性たちもいる、というエピソードも多かったのではないでしょうか。
ジェーン・スー:露払いをしてくれた、と思うんです。そして、ドアを開いてくれた。たとえば吉田羊さんは舞台でキャリアを積まれた後に、テレビドラマなどの映像作品に出演されるようになりました。年齢非公開でいらっしゃるけれど、テレビで拝見した吉田さんが10代や20代前半の若手ではないことは誰もがわかりましたよね。若ければ若いほどよいとされるような風潮があるなかで、その人の魅力でもってこんなにも活躍の幅を広げるんだ、というのを目にするだけでも、考え方が変わります。そういう人が“いる”のを見て、自分の居場所もあると感じられるようになるものだと思います。
――吉田羊さんの活躍に、励まされた女性が多いと思います! ただ、インタビューでは劣等感も吐露されていて……。
ジェーン・スー:そうなんです、吉田羊さんが自分に自信がない人だと思わなかったですね。すごく意外でした。
――はい、それによって身近に感じられました。
――逆に君島十和子さんが実はタフだったり、田中みな実さんがとてもクールだったりと、読みすすめるうちに自分がいままで勝手に持っていた印象が鮮やかに塗り替えることがたびたびありました。スーさんは「イメージが変わった!」という方はいらっしゃいましたか?
ジェーン・スー:辻希美さんですね。ご自分の家族や家族といったものに対して、もちろん信頼はしているけれど、でも過剰に期待することはない。そんな強さは、こうしてお話を聞かないと知りようのないことだったと思いますね。
田中さんや君島さん、それから今回は神崎恵さんにもお話を聞きましたが、みなさん自分を知る、よさを引き出すということに神経を集中し、思考を重ねに重ねられている。昔だったら美しいとされる人はその秘訣を訊かれたら「お水を飲んでるだけで、何も特別なことはしていません」と答えていたところを、自分が使っている化粧品から実践している美容法まで、何もかも見せてくれていますよね。どうしたら自分を魅力的に見せられるか、首の傾げ方ひとつ手の動きひとつまで徹底して研究されている。どこまでも追求して更新していく姿がかっこいい!