◆イノベーターである女性13人
ジェーン・スー:女性の場合、ロールモデルがなかなかいないとよく言われます。それは女性の生き方の正解がひとつでないからであって、私はそれ自体はとてもよいことだと思っています。生き方にいろんなバリエーションがあるなかで、ならば、みずから自分の居場所を作ってきた、そんなイノベーターである女性のお話を聞きたいと、こちらからお願いしました。
――美容家の齋藤薫さんから漫画家の一条ゆかりさんといった、いわゆる大御所とされる人から、30代の辻希美さんや田中みな実さんまでと年齢に幅がありますが、それぞれの方の生き方に“時代”が表れていると思いました。
ジェーン・スー:若いころにどんな時代を、社会を生きてきたかというのが、13人のみなさんそれぞれ違ったというのは、読み返すとあらためて思いますね。男女雇用機会均等法が制定されたのが、1985年のこと。齋藤薫さんが出版社に就職されたのはそれより前なので、30歳を過ぎた女性が会社で働くことがほとんど想定されていませんでした。一条ゆかりさんがデビューしたころも、漫画家という職業がいまよりずっと低く見られていたんですよね。では、いま30代の辻希美さんはどうかというと、若くして結婚し子どもをもったことで「ママゴト婚」と揶揄されました。いったい、どうすればいいのかと。本当にままならない世の中だと思います。でもそんな時代のなかでも不貞腐れず、みなさん自分の居場所を見つけてこられたのだと知りました。