衝撃的で、かつ解釈の分かれるラスト

 本作で何より強烈に印象に残るのは、原作をベースにしながらも、映画オリジナルで紡がれたラストだろう。観る者によってかなり解釈が異なる結末でもあり、それを持って心にズシンとくる余韻が残る物語にもなっている。

「映っているもの」をよく見ると答えは描かれているとも言えるのだが、それをはっきりさせるのも野暮だろう。この映画の意義のひとつは、やはり美しい自然の中で紡がれる少年少女の思春期特有の危うい心、それを大人が追体験することそのものなのだから。

 このラストから、主人公の少年と、3歳年上の少女が「秘密」として語り合ったことを思い出すと、よりこの物語が切なく胸に響いてくる。その感覚は美しくも恐ろしい舞台を映した、16ミリフィルムの映像美があってこそ。ぜひ、スクリーンで見逃さないでほしい。

『ファルコン・レイク』 8月25日(金) 渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー
監督・脚本:シャルロット・ル・ボン
出演:ジョゼフ・アンジェル、サラ・モンプチ、モニア・ショクリ
原作:バスティアン・ヴィヴェス「年上のひと」(リイド社刊)
提供:SUNDAE 配給:パルコ 宣伝:SUNDAE
原題:Falcon Lake|2022年|カナダ、フランス|カラー|1.37:1|5.1ch|100分|PG-12|字幕翻訳:横井和子
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