8月25日よりカナダ・フランス合作の映画『ファルコン・レイク』が公開中。原作は邦訳版が第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞に輝くなど、高い評価を得たフランスのバンド・デシネ 『年上のひと』だ。

『aftersun/アフターサン』にも似た、スクリーンで観てこその映画

 監督・脚本は俳優としても活躍するシャルロット・ル・ボン。初の長編監督作ながら第75回カンヌ国際映画祭での上映を皮切りに、第58回シカゴ国際映画祭ゴールド・ヒューゴ (新人監督賞)など世界中の映画祭で受賞を重ね、米批評サイトRotten Tomatoesでは批評家支持率が96%にまで到達している。

 繊細な思春期の少年の心理を大胆に綴り、ほとんどホラー的に見える瞬間もある本作は、16ミリフィルムならではの映像美が映えるスクリーンでこそ、真に堪能できるのは間違いない。切なくも危ういドラマと、淡々としているからこそ観客の想像力を刺激する作風は、2023年5月26日より公開されたばかりの『aftersun/アフターサン』にも似ているので、そちらが好きな方もきっと気にいるだろう。さらなる魅力を記していこう。