思春期特有の危うさを容赦なく描く

 もうすぐ14歳になる少年バスティアンは、母の友人のもとでひと夏を過ごすため、家族と共にカナダ・ケベックの湖畔にあるコテージを訪れる。そこで3つ年上の少女のクロエに惹かれたバスティアンは、彼女を振り向かせるために湖へ泳ぎに行くのだが……。

 本作で何よりも目立つのは、「20歳未満の飲酒・喫煙、及び薬物使用の描写」のためにPG12指定のレーティングがされたことに大納得できる、思春期の少年少女の危うい行動の数々。彼らは大人の目の届かないところで、そうした「やってはいけないこと」を、特に罪悪感もなく「付き合い」としてやっているようにも見える。加えて、3歳年上の少女だけでなく、もう少し年上の青年からも性的な話題が展開していくのだ。

 主人公の少年はそうした危うい行動の数々に迎合しているように見える一方で、ナイトパーティーなどで居場所を無くしてしまっているように見える場面もある。本作はそうした思春期特有の生々しさや居心地の悪さを、良い意味で容赦なく描いている。

 少し大人びたこと、それこそ飲酒やセックスへの憧れが思春期の少年少女にあることは理解できるのだが、それにしたって「この子たち、大丈夫かな……いや、もう大丈夫じゃないかも……」と不安を超えた焦燥感を得る。そうした気持ちを受け手に喚起させる映画なのだ。