◆“野菜に備わっている栄養を十分に取り切れていない”かも

――食べ方によって実は野菜の栄養を十分に取り切れていない可能性があるって本当でしょうか?

「野菜に備わっている栄養であるカロテノイドは、健康維持のために大事な栄養素なのですが、そもそも体内に吸収されにくい成分であり、一緒に調理される食品、調理法、摂取する人の栄養状態などによって吸収率が大きくかわり、3%以下から96%と言われています」(スギアカツキさん 以下、カギカッコ内は同じ)

食文化研究家・スギアカツキさん
食文化研究家・スギアカツキさん
――なるほど!スギさんによると、注意したほうがよい“野菜の栄養の取りこぼし”ケースは3つあるそうです。

●噛まずに食べる

食事における咀嚼(よく噛むこと)は、消化酵素のアミラーゼを含む唾液の分泌を促し、胃腸での食べ物の消化吸収を促進します。このステップを怠ることは、せっかくの栄養素の吸収率を下げることにつながります。

●一度に大量に食べて安心する

どんな栄養素も体に貯蔵ができるわけではありません。脂溶性ビタミンは脂質と一緒に体内に貯蔵することができますが、水溶性ビタミンは体内に貯蔵できる時間が脂溶性ビタミンにくらべ少ないため、不足しないようこまめに摂取することが必要です。野菜は時間に余裕があるタイミングにまとめて摂取すれば大丈夫、などと安易な発想には気をつけましょう。

●偏った食事を続ける

栄養素のバランスがくずれると、身体の消化・吸収・代謝にも影響が出てきます。栄養素のほとんどは小腸で分解・吸収されますから、消化器官をはじめとする体全体を健康に保つことが、栄養吸収を考える上での基本になります。