◆学びたい意欲は満々だった
「あなただけ」と特別待遇を提示して今がチャンスと煽るのは、どんな業界でも比較的よくある営業方法だろう。しかし「ハワイで成功した女性実業家」風のすごい人が自分に目をかけてくれた! そんなうれしさも相まって契約に踏み切った。あとからスクールのメンバーたちと情報交換をすると、みんなが似たり寄ったりのトークでX先生から契約を迫られたことが判明するのだが。
そのスクールのフランチャイズとしてかかる料金は、最低ラインで日本円にして約400万円。これは一般的には妥当な線かもしれないが、問題はその内容だった。
レッスンはオンラインで受けることもできたが、せっかくなら現地で学びたいと、ハワイへ飛び立ったOさん。スクールとの事前の打ち合わせでは、アロマとハーブの資格を取るための全レッスンを約1週間で終了できるよう、みっちり詰め込んでスケジュールを組んでもらっていた。ところがその内容は、次のようなものだった。
・「ここは資料を読めばわかる」などの省略がつづき、約1週間に詰め込まれていたはずのレッスン予定が、実質3〜4日しか行われず、雑談や契約の話に費やされる(ほかの生徒も似たり寄ったり)
・そこにいないメンバーや受講生を面白おかしくネタにしたり、批判したり、悪口が展開されたりする(太っている、しつこくて嫌、ダサい、頭おかしい、細かすぎ……等)
・全カリキュラムを終了したことが証明される修了証が、スケジュールの前半で「先に渡しておく」とカジュアルに発行される
・レッスンで配布されるテキストに、化学式や植物の学術名など明らかな間違いが確認されるが、指摘してもスルーされたり「アメリカではこれが正しい! 日本のアロマが間違っている」と激怒される
・一般的にアロマセラピストとして活動するにはケーススタディ(事例研究)の習得が必要とされるが、このスクールでは出さなくても修了証がもらえる人もいた。修了に必要とされる論文の提出をしなくても修了証が発行される場合もある
・同じ金額を支払っていても、X先生の機嫌や好き嫌いで、提供するレッスン内容や待遇が変わる
・カリキュラムを終了していない時点から、一刻も早い集客を求められる。「早く集客してレッスンをしていけば、おのずとスキルが身につく」という主張