◆普段は気づかないけど、外を見たら、面白いものがいっぱい溢れています
――高橋さんは作家、詩人、作詞家として常に締切に追われたり、アイデアを求められると思います。追い込まれている中で、暮らしを楽しむコツはありますか?
高橋:家の中で追い込まれても何も生まれないことが多い。外にはたくさんのヒントが転がっていますから、少し気分を変えるために散歩をするのがいいと思います。行き詰まったときには、一度自分から離れてみるのがおすすめ。たとえば、私は庭で植物を育てているので、植物に目がいきます。「いつの間にか芽吹いている」とか「花が咲いている」と気づくとそれだけで嬉しくなったりします。
散歩は素敵な出会いに溢れています。散歩中、会話したことをきっかけにご近所さんのお庭の梅の実をいただくようになり梅干しや梅酒をつけるようになったり、玄関の前に「ご自由にお持ちください」と素敵な食器を出しているお家を見つけたり、物々交換や野菜の育て方についてお話する機会ができたりもしました。
散歩のおかげで、ご近所さんとの交流が生まれたんです。ここ数年はコロナ禍でストレスがかかる機会も多かったですが、ご近所さんとの交流が増えたおかげで癒されました。仕事をしているときだけが仕事とは限りません。そういうところからもパワーをもらえたりしますね。
――今、東京だと特にご近所とのつながりが薄いと思います。そういう中ですごく素敵な関わりですね。
高橋:たしかに、人に対して「嫌われたらどうしよう」みたいな不安がありますよね。「余計なお世話だったかな」と後悔することもあります。もちろん相手の方の気持ちはわからないですが、もし嫌だったら「嫌です」って言ってくれると思うんですよね。だから、勇気を出して一歩を踏み出してみることも大切だと思います。