◆自分のバランスを保つには「暮らし」という土台があってこそ

――高橋さんはお仕事と暮らしのバランスを上手に保っている印象です。たくさんのお仕事をこなしながらも、食事や趣味、散歩などをしっかり楽しみ、上手に自分をご機嫌にする方法を心得ているように感じます。

高橋さん(以下:高橋):30代半ばくらいから、生活と暮らしのバランスを工夫するようになりました。私は生活を基準に考えているところがあるので、最近は自分のキャパを超える量の仕事は引き受けないようになりました。ベストを尽くすためには、寝る、食べる、散歩をするなど、生活がしっかりと変わっていきながらではないと、長いスパンで続けていくことはできません。仕事と生活がくるくる回って繋がっていくのが理想です。

――仕事を断る勇気を出したきっかけはなんだったのですか?

高橋:作家になって間もないころはがむしゃらに働いていましたが、あるときイベントに立て続けに出演して、その時は楽しいんですが、終わったあとしばらく体と心が疲れてしまっていることに気づきました。自分の声にもっと耳を澄まそうと思いました。

忙しすぎると「次はこうしよう」と考える余裕がなくなって、こなすだけになって自分の成長も望めなくなります。経験を自分の中の知肉にするためには、適度に余韻に浸る時間も必要ですね。仕事を詰め込みすぎて自分がスカスカになってしまっては本末転倒ですからね。